お坊さんに携帯を拾ってもらった話。

特に面白い話ではないのですが、

数年前に、私が携帯を落として、

お坊さんに拾ってもらったお話です。



私はとある繁華街で、夜中までバイトをしていて、

深夜(12時は余裕で過ぎていた時間)に自転車で家に帰る途中、


携帯電話を失くしたことに気づきました。


カバンや洋服のポケットや、全部探しても

やっぱりどこにもない!

やっばーい。。。めんどくさい。


どうしよっかなぁーーー。


自転車のカゴにカバンを入れていて、

その中に携帯を入れていたから、

多分カバンから落ちたんだ。


それで、普通は落ちた時に音で分かるはずだけど、
その時、ipodで爆音で音楽を聴きながら自転車に乗っていたから

気づかなかったんだ。


バイトで、体力と気力を限界まで使い切っていたので、

もう疲れまくっていて、フラフラで、

携帯がなくなったのは、もう別にどうでも良く思えたんだけど、

明日の朝、携帯のアラームが使えないとなると、どうやって起きようか。

とにかくそのことばっかり、

目覚ましの心配ばかりしていました。



もう深夜だったから、帰ってちょっと寝たら

すぐ明日の朝だからね。それまでにアラームをどうにかしないと。。。


コンビニで目覚まし時計なんて売ってないし、

こんな真夜中に営業してるお店ないし、

目覚ましなかったら、絶対明日の朝起きれないし、



マジで目覚まし時計、どうしよう・・・・どうしよう。

友達に朝起こしてもらおうにも、

携帯がないから連絡できないし。番号も分からないし。


うーーん。目覚ましどうしよう・・・・・。

考えた結果、


公衆電話を探して、自分の携帯に電話をかけてみた。


そしたら、男の人が出て、

道路に携帯落ちてて拾って、今交番に届ける途中だったとのこと。


今〇〇通りのコンビニの前にいる。

とのこと。


結構近くの道路で落としていたようで、

待ち合わせをして携帯を受け取ることになった。



良かった。助かった。。。

ちょっと怖いけど、大丈夫なぁ、色々と・・・。



荷物(貴重品)を自転車の前カゴに入れること、

音楽を聴きながら自転車に乗ること、

深夜に1人で自転車で帰ること
知らない人と待ち合わせをすること



今思えば、全部全部ゾッとするようなことをしてたなぁと反省しますが、

自分が若かったことと、今ほど治安が悪くなかった(ような気がする)

ということで、若気の至りで流していただきたい。


待ち合わせのコンビニの前で待っていてくれたのは、

自分と同じ年くらいの、大学生のような若い男の人2人組で、

私に携帯を渡してくれた時、

「ホントに無事で良かったー。」

とめちゃくちゃ安心した様子だった。


聞くと、

道路に携帯の部品の一部が落ちていて、

事故でもあったのかな?と思って、ゾッとしたらしい。

それで、周りを見たら数カ所に携帯の部品がバラバラに散乱していて、
(前はバッテリーとか、カバーとか取り外しできるタイプだったから。)


それらを拾い集めて、電源をつけてみたら

ちゃんと電源が入った。

それで、まず、着信履歴の一番上にあった人(私の女友達)に電話してくれたらしい。
でも夜中だったから、不在だったらしい。


そのタイミングで、私が公衆電話から電話したらしい。

もしかしたら事故か事件に巻き込まれたんじゃないかと思って、

めちゃくちゃ心配してくれていたらしい。



目の前がコンビニだったので、

飲み物でもおごります。おごらせて下さい。

ホントにお礼させて下さい。

って何度も言っているのに、


受け取ってもらえない。

その人達が帰る方向に、自転車を押しながらついて行き

ほんとにコーヒー1本でもおごるんで、待って下さい。

って言いながら、

名前を聞いても教えてもらえなくて、

でも聞いてみると、

とある有名なお寺の修行僧さんだった。


なるほど!だからこんなに紳士的なんだ。。。


他の人なら、喜んで名を名乗り

あわよくば電話番号(ライン)を聞き出すか、

この後食事に誘うか、

下心見え見えで近づいてきそうなところ、


名前も名乗らず、お礼も受け取らず、

こんな真夜中に自転車でフラついている無防備な若い女性に対し

ただただ紳士的。


私はなんて良い人達に拾ってもらったんだろう。

神様、ありがとう。と本気で感謝した。


どうしてもお礼を受けとってくれない。

ということで、


どうやってお礼できるか考えて、

私この近くの〇〇ってお店で働いているんで、

もし良かったら今度来て下さい。

もし来てもらえたら、その時お礼させて下さい。
と言って、何度もお礼を言って、私は家に帰った。


翌日か、翌々日か、

まさかまさか、


そのお坊さんが、仲間を連れて20人くらいで、

私のバイト先のレストランに食べに来てくれた。

(修行僧ということで、みんなめちゃくちゃ若い人たち)

まるで高校野球部の合宿。

大人数なので、急いでスタッフみんなでテーブルをくっつけて

レイアウト変更。


大人数で、料金もボリュームも

えげつないお金の使いっぷりで、

とことん飲んで食べてしてもらった。


キャッシャー(レジのところ)に言って、

「マネージャー、あの人たち、〇〇寺で修行してるお坊さんなんですけど、

私昨日のバイト帰りに携帯落として、あの人達に拾ってもらったんです。

それで今日来てくれたんですけど、

〇〇と〇〇と、デザートと、後で私がお金払うんで、サービスということで

出してもらってもいいですか。」


と報告。


結局そのサービスの分まで、きっちりお坊さんたちが食べて払ってくれて

またもや受け取ってもらえず、

逆に申し訳ない気持ちになった。わざわざお店まで足を運んでくれて、

こんなにお金を使ってくれて。


日頃の行いがどうとか、

運がいいとか悪いとか、

色々あるんだろうけど、

ご縁とか人生とかって、

こういう不思議な出会いで

続いていくんだろうなーと思った。


私はただのバイトだったから、

あの時お坊さん達が、どんなにご厚意でお店にお金を使ってくれても

私の給料は1円も増えなかったけど、


例えば、自分が自営業だったとして、

こんな出来事が起きる可能性もあったんだし
そう思ったら、何かホントに

目に見えない運命みたいなものに感謝するしかなかった。


携帯を落として、

誰にも拾われることなく、ただただ運が悪かった。となるだけの人もいるだろうし、

普通なら、拾ってもらった見返りに、

下心見え見えで近づいてこられるのが一般的なオチだろうし、

真夜中に安全に、何のトラブルもなく携帯を受け取れた上に、

名前も名乗らず、名刺も連絡先も教えず、

お礼のコーヒー1本さえも受け取らず

バイト先にきて大金を使ってくれた。

自分は何てツイてる人生なんだろうと思った。


それに、日本人の誰もが知る有名なお寺のお坊さんと、

こんな風にご縁があったことに、ありがたく思った。

そんな思い出話でした。

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