私のおじいちゃんは、いわゆる成功者と呼ばれる人だった。
伝統ある小さな田舎町で、和菓子づくりをはじめ
たった一人でお店を出して大成功させた和菓子職人さんでした。
全盛期、金融資産は1億円以上あったらしく、
自宅の大豪邸には全面ガラス張りの長い長い廊下があり、
滝の流れる日本庭園があり、そのガラス張りのどこからでも庭園の景色が楽しめるようになっていた。松の木や、大きな藤の木や椿まであった。
小さな頃、そこでよく遊んだ。
短距離走でもできそうなほど長い廊下はL字型になっていて、
窓際には、茶室やソファーや、マッサージチェアーがあった。
お風呂場は、壁の一面が全面鏡になっていて、
24時間、いつでもあたたかい湯船に入れるシステムの巨大なお風呂だった。
自慢ではないです。
今日の記事は、そんな私のおじいちゃんから学んだ、成功の秘訣を書こうと思います。
ちなみに、おじいちゃんが一代で築きあげたお店や豪邸は、
今はやりたくもないのに跡継ぎをさせられ、
全くやる気のない息子さんが後を継ぎ、
また時代の流れとともに衰退していき
滝が流れ、小さな橋や池があった見事な日本庭園は、今や水が枯れて草だらけになり
ご近所さんから苦情があり、人材センターに草取りを依頼している状態。
松の木のメンテナンスなどに無駄なお金が出ていくだけの、負の遺産だと散々嘆かれている。
おじいちゃんが生きていた頃、
「成功の秘訣は何?」と聞いた時、
以下の3つのことを教えてもらいました。
1. 「器用な人は色んなことに挑戦するけど、不器用な人は、一つのことをずっと続けることだな。」
2. 「色々試行錯誤してみて、一つうまくいった商品があったら、他は全部やめて、それ一本に集中する。そして、その成功した時の原料やサイズ、料金は、時代が変わって消費税が上がっても絶対に変えたらダメ。少しでも変えたらもう売れんようになる。」
3. 「最高級のものをつくりたかったら、最高級の原料を使う。」
おじいちゃんは、成功した時の原料やサイズや値段は絶対に変えたらあかん。
といつも言っていた。そして最高級のものをつくりたいから、最高級の材料を使う。
北海道の小さな農家さんから、国内で最高級の品質の小豆を取り寄せて、あんこを作っていた。
和菓子を包む和紙や、ナイロンの包み紙まで、最高級のこだわりのものを使っていた。
試行錯誤や失敗もたくさんして、サイズと値段は、コレだ!!という絶妙なバランスの、成功ポイントがあったんだと思う。
ご近所さんが手土産やお祝いやお返し、結婚式やお葬式に使うために、毎日大量に予約が入り
口コミが広がって、雑誌の取材や、ハワイなど海外からも注文が殺到していた。
職人さんは雇わず、たった一人で朝から晩まで働いていたおじいちゃんだったけど、
好きな仕事をしている人っていうのは、忙しくてもそれが幸せなんだろうな。
・・・ちなみに、おじいちゃんはとことんこだわりを持って、
最高級の原料を使っていたけれど、
おじいちゃんが亡くなった後、それで生計を立てていた北海道の農家さんが廃業になり
やる気のない息子は、ひたすら原価を下げるために、安い原料に変え、包み紙も安くて薄いシワシワの空気が入るナイロン紙に変え、現代のニーズに合わせてサイズを小さくし、箱入りとは別に、安っぽい透明のプラスチック容器の安い商品が追加され、消費税に合わせて価格も上げ、おじいちゃんが絶対にしなかった、賞味期限前の値下げもされる始末。
おじいちゃんがあれだけこだわってきたものが、
悲しくも情熱や想いが次の世代に使わらなかったのと同時に、常連さんも離れていき、お店は衰退していった。
成功というのは
「何をするか」ではなく、「どんな人間になるか。」で決まるんだと思う。
同じ場所で、同じ仕事をしても、成功する人は成功するし、成功しない人は、どんな仕事をしても成功しない。
思い返してみれば、おじいちゃんの習慣・生き方は、間違いなく成功者の生き方だったように思う。
・家中とにかくピカピカに掃除する。(自分で。)整理整頓はもちろんのこと、毎日床の雑巾がけまでする。トイレ掃除もピカピカ。倉庫や和菓子づくりの職場もピカピカ。無駄なものが一切ない。
・一番風呂に入る。あまりにもキレイ好きで、排水溝に髪の毛1本でも落ちていたら怒る。
・早寝、早起き
・茶室で、日本庭園を眺めながら、詩を書いたり、お茶を飲む時間が好きだった。
・茶室やデスクも、とにかくピカピカ。無駄がない。
・ライターや灰皿など、象牙の超高級品だった。
・何十年も日記を書いていた。
・無駄な人付き合いは一切しない。朝も早いので、他人と外食したり夜遅くまで飲むことは一切しない。典型的な職人気質で、一匹狼タイプ。
・自然が好きで、田舎風景や海や山の番組をよく見ていた。
・予約を見落としたり、不良品のクレームが一切ない。(息子さんの代になってから急増。)
・株で大儲けしていた。無駄づかいはせず、株の投資に使う。他人や地域の会社が起業する際にも協力、株式投資。地域の企業を応援・投資。地元のお祭りや行事やお寺や神社に多額の寄付。
・お墓や公民館や神社やお寺に行くと、あちこち色んな場所に、おじいちゃんの名前が彫ってある。”○○○様 寄贈。” 寄附金の金額順に並んでいるのか、おじいちゃんの名前は、いつも一番最初に書かれている。例えば、お墓参りの人のために、道を整備して屋根付きの水道を作ったり。地域の花火大会には、毎年何十万円と寄付をしていて、いつも名前が載っていた。地域に貢献することも間違いなく成功者の条件なんだろうな。成功してから貢献するんじゃなく、そういう生き方ができる人が成功するんだなぁ。これら地域の至るところに刻まれたおじいちゃんの名前は、亡くなった後も、ずっと残っていく。孫として誇らしい。
・・・ここまで、私のおじいちゃんの生き方を書きましたが、
実は、もう一人のおじいちゃんは、まさに対照的な性格で、
お世辞にも成功者とは言えないおじいちゃんだったけど、
全く別の生き方で、とにかくみんなに愛される人でした。
・お酒大好きで、いつも仲間に囲まれていて、とにかく友達が多い。
・人情味があり、いつも家に誰かが来て、お酒を飲んで語っている。
・自然が大好きで、山や川や田んぼや農業のことは何でも知っている。
・やんちゃで怖いものなしの性格から、多くの人に頼られ信頼されている。
・あまり知的ではなさそうだが、おもしろい。
・たくさん遊んでくれたし、色んなところに連れて行ってくれた。
・みんなから愛され、親戚が集まることが多かった。
・アニメや時代劇が大好きだった。
・お金も財産もなかったけど、とにかく人に愛され仲間がたくさんいる人でした。
対照的な2人のおじいちゃん。
どちらの生き方も本当に素敵です。
そしてこんな素敵な2人の血が流れる私のこれからの人生が、とても楽しみです。